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組織の課題を対話で解決する専門家 大坪加奈子

ビジョンとは何か、なぜ必要か?

企業の未来づくりにおいて、必ずと言っていいほど出てくるワードが「ビジョン」

 

ナビゲートビジネス基本用語集によると、「将来のある時点でどのような発展を遂げていたいか、成長していたいかなどの構想や未来像」と書かれています。ビジョンは、とてもフワフワした言葉ですから、人により捉え方が違うのも当然でしょう。

 

ここでは、「将来に向けた構想や未来像」という言葉をもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

 

建材卸を営んでいるある会社の社長は、業界の吸収合併により、自社も大手に吸収されるのではないかという危機感を抱いていました。その業界では、売上高300億以上ないと独立の組織体として存続していくのは難しいと言われていました。その会社の売上高は250億強。後50億の積み増しをする必要があります。そこで社長は、全社の目標売上高を伝えて上で、各事業部の売上目標と新規事業開発の必要性を訴えました。

 

しかし、現場のリーダーの多くはプレイングマネージャーで、毎日遅くまで残業、顧客との折衝もあり、これ以上忙しく働く余力はありませんでした。目標値が上がっていることはわかるものの、どうやって達成していくのか、不安や不満の声が上がっていました。

 

この会社の場合、収益目標という部分でのビジョンは明確になっています。しかし、“どのようにして?”という部分が抜けています。足りない50億の積み増しについて、既存サービスの改良や新規事業の概要を考えていく必要があります。

 

もしかしたら、この規模の場合、M&Aで買収をした方が効率的であるかもしれません。ただ、どの会社を買うのか、これも重要な選択です。顧客からみた場合に、ワンストップサービスが価値であるならば、既存事業における顧客満足を高めるオプションサービスの事業を買うことが有効であるからです。目標売上から逆算して考えた場合の戦略ロジックを計画することはビジョン開発の一例と言えます。将来に向けた構想や未来像をより具現化したものですね。

 

一方で、“その事業をなぜやるか?”という根拠となるものを考え、世の中に打ち出していくこともビジョン開発だと言えるのではないでしょうか。私は年末に、堀江貴文さんがプロデュースしているミュージカル「クリスマスキャロル」を見に行きました。普通のミュージカルと違い、会場は元キャバレーだったところで、和牛のフルコースを食べながらミュージカルを見るというものです。

 

堀江さんは、“このミュージカルになぜ取り組むのか?”という話を色々なところで語られています。私もその話に共感してチケットを買いました。ミュージカルがすごく好きというわけではないですが、この空間に行ってみたいと思いました。私の心を動かしたのは、堀江さんの将来に向けた課題認識です。

 

世の中のライフスタイルの変化と社会問題、ミュージカル業におけるイノベーション、役者の生計問題、あらゆることを考えての堀江さんの取り組みに参加してみたいと思いました。これも立派なビジョンだと思います。というより、漠然とした将来構想に留まらず、一つ一つの事業にやる意味を持たせる、WhyDoを考え伝えることこそ、ビジョン開発をする本来の意味なのでは?と思います。

堀江貴文さんのミュージカルに取り組む理由は、こちらをご参照ください              ITmedia ビジネスオンライン#SHIFTトップインタビュー 僕の足を引っ張らない社会を作る――ホリエモンが演劇をアップデートする理由」                     https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1812/15/news014_5.html

 

皆様の会社では、ビジョンというとどのような言葉を思い出しますか?

また、どのような局面でビジョンを活用されていますか?

ビジョン開発はつくることに焦点がいきがちですが、事業展開の様々な局面で、顧客に選ばれるための材料として活用できると良いなと思います。