キラッと光ろう★ 組織の力で価値を最大に!

組織の課題を対話で解決する専門家 大坪加奈子

「キラッと光る組織づくり」の狙いと効果測定の方法

【“キラッと光る組織づくり”の狙い】

 世の中には、既に「組織づくり」に関する商品・サービスが沢山あります。それらのサービスとこの「キラッと光る組織づくり」の何が違うのでしょうか?

 

この商品は、組織づくりを目的としていません。

 

 目的はあくまで、企業理念=ミッション・ビジョン・バリューを実現することでパーパス(存在意義)を高めることです。

 

 同じ業態・ビジネスモデルであっても、企業理念の打ち出し方によって、他社とは違う独自のメッセージを発信することができます。一方で、言葉は魅力的であっても、実際の商品・サービス、人の対応が伴っていなければ、本当の意味で他社とは異なる独自性を発揮することはできません。

 

 それは、社員一人の力でできることではなく、人が集まる組織集団が一丸となって協力することで独自性は発揮されます。さらにその活動を研ぎ澄ますことで、希少性が高まり、他にはない会社に育つことができます。

 

 例えば、「お客様から愛される地域No.1寝具店 ~お客様の眠りを進化させる健康サポーター~」というミッションスローガンがあったとします。このミッション自体は、”誰の何のために”という視点が明確で、他の寝具店とは違う何かを提供してくれそうだというイメージを持つことができます。

 

 しかし、もし、実際の店舗で扱っている商品や人の対応が他のお店と何も変わらず、健康サポーターとしての取り組みもあまりできていなかったら、お客様はどう感じるでしょうか。

 

「がっかりした。期待外れだ!」と感じるのではないでしょうか。

 

 「地域No.1」と言っているのですから、自分たちの強みがわかっていて、その強みは誰にも負けないというぐらい磨き上げる必要があります。仮に、「地域No.1」の中身が人の対応力にあれば、具体的にどんなことをしてくれるのか?が明確であり、対応する社員全員が同じパフォーマンスを発揮できることが期待されます。

 

 お客様は、「あの担当者の対応はあんまりだったわ」と、人に対する評価をするかもしれませんが、人による対応のばらつきがあると、それは結果的に、その会社全体の印象を良くないものにします。

 

 会社全体でお客様に対する対応力をあげるといった場合、一人の能力向上以上に、職場における職層間(縦)の連携と部門間(横)の連携が課題になります。多くの問題は「人と人の間」に発生するため、この連携がパフォーマンスに大きく影響するのです。

 

 仮に、担当者と管理者で情報連携ができていなかった場合、管理者が問題を認識できず、対応が後でに回るかもしれません。そのような状態が積み重なると顧客からの評判は下がり、せっかくの地域No.1店の言葉が台無しになります。

 

 また、この会社は「お客様の眠りを進化させる健康サポーター」になると言っています。健康サポーターの定義が重要になりますが、例えば、「枕や布団等の汗の量で健康状態を測り、フィードバックする」といった最新技術を活用した機能を持たせる場合、企画する部門・情報収集する部門・営業部門・アフタケアを担当する部門と複数の部門が連携して初めて円滑なサービス提供が可能となります。

 

 さらに、昨今の環境変化は激しく、経営資源が限られている中で新しいことをどんどん仕掛けていく必要があります。今までやっていた業務を何の改善もせずに、同じようにやっていては収益性はあがりません。安定的な対応品質を提供するためにも、昔からやっている仕事であればあるほど、標準化・効率化が求められます。

 

 例えば、寝具を仕入れて売るという小売店の基本的なオペレーションの部分はクラウドシステムに任せて、社員は接客に注力するという施策も考えられます。その時、システム導入を目的に進めるのではなく、余力をどれぐらい生み出すのか、新しい活動目標は何かと明確な目標設定が大切です。

 

 今までやってきた仕事も新しい仕事も良いパフォーマンスを発揮するためには、常に標準化・効率化から余力を生み出し新規活動に投入するというサイクルが回っている必要があるからです。「事業ライフサイクル」は良く知られていますが、組織も事業の盛衰に合わせて行動を変えていく必要があるのです。

 

 ここまで組織全体をみてきましたが、最後にお客様から良い評価を受け続ける上で重要な点があります。それが、「PDCA」の視点です。「PDCA」という言葉は今やビジネスでは基本中の基本です。ですが、「C」と「A」については、「実行計画を実施したか」という点に留まり、成果につながる行動の評価については、何をするのか明確に定まっていないケースが多いです。

 

会社が一方的に企画した内容のチェックをしても、顧客満足には繋がりにくい。ミッション・ビジョン・バリューを実現してお客様から選ばれるために必要な行動は何かという点について、もっと「C」と「A」を行う必要があるのです。

 

 例えば、この寝具店で受注率を上げるといった場合、キャンペーン等のおススメ商品をPRするだけではなく、お客様への眠りに関するヒアリングや課題の共有、お客様にとって良い商品を交えたライフスタイル提案のプロセスを重要視しています。この時、何件注文を受けたかというチェック「C」ではなく、お客様が購入してくれる過程に焦点をあてた「C」と「A」の設定により、何を改善するとお客様は満足して購入してくれるかが見えてくるのです。

 

 このように、実行活動の出来具合を評価している企業は多いですが、注文に直結する行動やリピートにつながる行動の実施度合いをチェックするといった、「C」の内容をKPIに落とし込んで定期的にチェックしている企業は少ないです。

 

 「C」が明確になっていないと、「A」の改善活動は何となく改善を提案をするというレベルに留まります。そうすると改善提案を出してくれてありがとうという風土改革で終始し、成果につながりにくいのです。

 

 私は、企業理念の言葉を実際の組織で実現するために、その背後に隠れている「組織の見えない問題」を組織の縦横連携(職責・職層ライン&バリューチェーン)・ライフサイクル・タスクサイクルの4つの視点から問題をあぶり出しています。

 

 この問題を「組織の見えない強み」に変えるために、暗黙のノウハウ・判断・対応力や仕事の進め方、結果につなげる行動等、組織の皆で実行できるようにするための基準・言葉づくりとその実行をサポートしています。

 

 言葉が実際の組織行動に落とし込まれない大きな要因として、「目に見える形になっていない」ということがあげられます。業務手順や取引基準はマニュアルや規程に書かれていても、大切なノウハウや価値を発揮するための判断基準・考え方は経営者や管理者の頭の中にあることが多いです。

 

 また、新しい取り組みであれば、トライ&エラーが繰り返されることにより、ノウハウが積み上がってきますが、これが言葉になっていないと、なかなか組織の知見になっていかないのです。これは非常にもったいないことです。

 

 世の中にある素晴らしい企業理念を、組織で働く人が実際に言葉と行動でカタチにできたら、もっと社会は素晴らしくなる。そう信じてこの「企業理念をカタチにする組織づくり」を推進しています。

 

【効果測定の方法】

「“キラッと光る組織づくり”」の結果はどのように評価するのか?

よく聞かれる質問です。

 

 企業理念=ミッション・ビジョン・バリューと定義しており、ミッションやバリューには必ず「誰の何のために何をする」という顧客の視点が入っていると認識しています。

 

 この “キラッと光る組織づくり”が機能していれば、顧客満足度が上がります。それに伴い、リピートが増えるでしょう。また、職場の問題にも取り組んでいきますから、社員の就業満足度が上がることも期待されます。

 

 さらに、どういうテーマでも生産性向上は必須になりますから、ムダな仕事の削減や仕事の集約化等でコストダウン目標に対しても良い影響を与えることができます。最近では、SDGsに取り組んでいる企業も増えています。環境負荷軽減への効果も期待できます。

 

 一方で、収益改善と違い、効果が出るまでにはある程度の時間がかかります。評価対象のKPIを決めておき、定期的に効果測定を実施することをお勧めしています。