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組織の課題を対話で解決する専門家 大坪加奈子

”全社多能工化”で仕事を円滑に進める

多能工化は、生産現場においては数十年前から、生産の平準化策として取り入れられてきました。それが昨今、働き方改革の推進とももに、全社的な取り組みとして導入している企業が増えています。今回の学校休業に伴う一時的な欠勤においても、多能工化を進めていれば、人員確保に頭を抱えることも少なくなるかもしれません。

 

中小企業では、スタッフの人数が限られていることから、兼務をして仕事を進めるという光景がよく見られます。特に、営業と受発注の業務を一人で行うということはよくあります。このような習慣をもう少し、仕組みとして全社的に導入していくことで、多能工化を進めることができます。

 

ポイントは、部門に業務分掌を割り当てるのではなく、業務を切り出し、人と時間に割り振ることです。直接・間接業務を一覧で洗い出し、その一つひとつについて精査をした上で、できる人に○をつけていきます。

 

そうすると、営業と受発注という大きな括りではなく、細かい業務で兼務が可能です。

例えば、

・経営企画部門のスタッフが予算資料作成の傍ら、輸出入書類の作成をする

・月/水/金は拠点で受発注業務に取り組み、他は採用業務のとりまとめに取り組む

 というような形で業務が取り組まれます。

 

ただ、この方法は新規の業務を習得するまで時間がかかります。ですから、今まで担当していた人が業務プロセスの整理し、標準化した上で切り出すことが必要です。属人的な判断を伴う作業を減らすこと、人による作業速度や品質のばらつきを減らすことが重要です。

 

では、どのような形で、多能工化を進めていけばよいのでしょうか。例えば、受発注業務を担っていた業務部門のスタッフに、従来、管理部門が行う売掛管理の業務を担当してもらいます。1人が異なる2部門の仕事、且つ同じ売上プロセスにある仕事を担うことで、スムーズな業務習得を目指します。

 

受発注業務を行っていた人が売掛管理まで関わることで、売上で終わりではなく、入金時期まで責任を持つ必要性に気づいてもらうなど、視野を広げる機会にもつながります。さらにタスクをスキルマップに落とし込み、面談に活用することで、キャリアアップのサポートにもつながります。

 

洗い出しの業務対象範囲は、売上や下払いなどの直接業務から着手することをお勧めします。間接業務の洗い出しは、秘書的なものも含めて、かなり細かくなりがちです。間接業務は業務棚卸後の業務内容の精査(止めるか減らすか、継続するか)を重点に行うことが必要です。

 

企業活動には、ルーティンと非ルーティンの仕事が存在します。既存事業且つ量産的な活動については、できるだけ標準化し、多能工を進めた上、担当スタッフが一人休んでも仕事が流れる環境づくりが理想です。私じゃなきゃいけないというスキルは、多能工などの仕組みづくりや、新規事業、新規開拓などのクリエイティビティが必要なことで発揮したいものです。