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組織の課題を対話で解決する専門家 大坪加奈子

小売事業の新たなビジネスモデル ~花屋を参考に~

 今週から7月ですね。4月スタートの会社であれば、第一四半期最後の月ですね。

皆様の会社の業況はいかがでしょうか。

 

 私は、今月からプライベートで花の定期便の利用を始めました。2週間に一度季節のお花が家に届くシステムです。1回送料込みで1,700円。花器にちょうど収まる花束サイズです。

 

 社会人になってからしばらく華道のお稽古に行っていました。何年かぶりに昨年半年ほど、同じ先生のお稽古に通いましたが、季節の花が家に飾られると、気持ちが癒されますし、お花に合わせて家を綺麗にしようという気持ちが高まります。

 

 花は生き物で、花弁の開き具合や葉っぱの色づきや枯れ方など、毎日変化していきます。忙しくてもお水を変える時間を持つことで、小さな変化に気づくことができ、またもうダメかなと思っていた花たちが生き返る様を見ると、日々のケアの大切さを感じます。

 

 そんなことを感じていたので、また働き始めても、お花がある生活を続けたいと思っていました。リサーチ好きの私は、早速インターネットで調べてみると、BloomeeLIFEというお花の定期便サービスを見つけました。

https://bloomeelife.com/

 

 花屋の業態は大昔からありました。全国に中小規模の花屋はたくさんあります。花屋は仕入が先に来るので、資金繰りが大変な業種だと思います。花には鮮度もあるため、廃棄ロス率も高いのだろうなと以前から思っていました。また、一年で売れる月に限りがあります。卒業・入学や母の日、父の日のイベントがある3月~7月が勝負というお店が大半です。

 

 花屋であれば、こういう売れ方が常識であるという考え方を覆すのが今回のサービスです。花屋から見たこのサービスのメリットは、

・受注を計画的に想定できること →売れ残りによる廃棄ロスが低減できる

・受注を均し平準化できること →閑散期に安定した収入を得られる

・固定客を獲得できる →花に興味のある購買層をグリップできる

 

 廃棄ロスについては、従来平均30%近くあったということですが、このサービスでは必要な分だけ仕入れるため、廃棄ロスは随分低減できそうです。また、計画性や安定収入はもちろん大切ですが、顧客との接点が強まることは、顧客の潜在欲求を掴む機会が増えるということであり、サービスの広がりが見えてきます。このサービスが従来のコンセプトと違うところは、「自分のために花を購入する」という点です。

 

 従来花は、誰かに向けた贈り物や冠婚葬祭用が一般的でした。その場合、購入者が必ずしも花に対して興味関心度が高いとは限りません。真のお客様が見えにくい状況です。一方で今回の定期サービスは、「花を暮らしに取り入れたい」と思う人をターゲットにしており、直接顧客のニーズを把握することができます。

 

 このサービスでは、花以外に花器の販売もしています。またハサミなどの道具の販売もしています。シーンを想定して、クロスセルで販売していくことで、お客様の生活の質向上に貢献しながら、一人当たりの購入単価を上げることができます。

 

 さらに継続性があります。贈答用であれば、一回きりのことも多いですが、定期的に配達することで半自動的にリピートを獲得することができます。事業開発において、この継続性のあるシステムを作れるか否かが非常に重要です。

 

 業種は異なりますが、珈琲チェーンのコメダもいつ行ってもどこでも同じ味が提供できるように、コーヒーを液体の状態で店舗配送しているそうです。珈琲好きというよりは毎週必ずモーニングに行きたくなるメニュー・サービスづくりをしているように思います。

 

 話は戻りますが、この花の定期宅配サービスは、安定経営をしたい花屋にとっても、お花を暮らしに取り入れたい人にとっても、両方の立場で嬉しい状況が作れているので、ビジネスとして成功できているのだと思います。これは花屋に限った話ではありません。IT技術が発達した昨今、様々なアプリ活用型のプラットフォームビジネスが生まれました。

 

 プラットフォームビジネスは、既存の業界における需給バランスを大きく変化させました。従来は需要がわかりにくいため、まずは沢山供給してみて、出たとこ勝負での販売でしたが、顧客の顔が見えることにより、供給をより計画的に、継続的にはば広く展開できるようになったのです。

 

 商品開発と売り方、両方大切ですが、成熟産業では特に売り方を工夫しないと生き残れなくなってきています。昔からの商品やサービスの良さで常連客がずっとついているお店は別ですが、常連客が離れていっている場合は、継続性を担保できるサービスシステムを活用して、顧客をグリップし直すことで、顧客との新たな関係構築を試みるが大切ではないでしょうか。

 

 今週はトルコキキョウを中心に6種類ほどの花が届きました。お花を生ける、水やりが楽しみです。次は2週間後、どんな花がくるのかワクワクします。Lineアカウントではお花のケアに関する情報や花器の商品を見ることができ、このサービスに愛着が湧いています。お花を愛する生活に欠かせない存在になりそうです。