キラッと光ろう★ 組織の力で価値を最大に!

組織の課題を対話で解決する専門家 大坪加奈子

主体性の裏にある真の目的を捉える

 2週間ぶりに更新します。毎日とにかく暑いですね。最近気づいたのですが、熱中症は外にいる時よりも部屋の中にいる時の方が危険かもということです。外にいる時は、日差しが強いので、明らかに身体が熱いなと感じます。一方で、部屋の中で資料作成などの作業や打合せをしている時は暑さを感じないため、体調の変化がわかりにくいのです。

 

 何となく頭が重いな、ふらふらするな、気持ち悪いなと感じたことがありました。クーラーはもちろんつけていたのですが、設定温度が26度になっていて安心していました。ふと、実際の温度の方に目をやると29度となっていました。設定温度が実際の温度と錯覚していたようです。クーラーのついた部屋の中では熱中症にならないという認識があるため、なかなか問題に気付かなかったのです。ちょっとでも、体調がおかしいなと思ったら手を止めて、部屋の環境や水分補給など、気にかけることが大切ですね。

 

 さて、本日は主体性に関する話を考えたいと思います。お客様から「うちの社員にもう少し主体性を持ってもらいたい」という声を聞くことがあります。主体的という言葉を辞書で調べてみると「自分の意志・判断に基づいて行動するさま」「他からの世話や保護などを受けずに、自ら進んで事を行うさま」という意味が書かれていました。

 

 どのような人でも自分の人生を歩んでいる限り、主体性はあるのでしょう。自分の意志・判断に基づいて行動したことがない人なんていないからです。もう一方の意味として書かれていた、「自ら進んで行うさま」が全くないという人もいないでしょう。その時、その時点で自ら進んで行っていないという状態はあるかもしれませんが、人生全てにおいて主体性がない人はいないのです。

 

 とすると、正しくは「会社の業務において、主体性を発揮してほしい」ということが正しい表現のように思います。もう少し突っ込んで考えると、「言われたことはやるけれど、自分から率先して行動しないと感じることが多いので、もう少し、自分から率先して動いてほしい」と捉えることもできます。この場合、上記のように感じる状況が複数あって、その積み重ねがその人に対する印象になっている場合がほとんどです。

 

 こういうケースの場合、多くが主体性を持つための教育を行ったり、主体性を持つように本人に諭したりします。結果的に、その方法が必要な場合もありますが、通常自分の人生に関しては主体的であるはずの人が主体的ではない状態をとっているということは、それなりの理由があります。

 

例えば、以下のような理由です。

・その業務に取り組む意味がわからない(本当は必要ないと感じている)

・大体自分から行動すると上司が難癖つけてくるからまず、受けてから考える

・そもそもその業務に対して情熱を持てない

 

 主体性を発揮しないための理由が何なのか、主体性を身につけてもらう以上にこの理由に着目し、その理由を払拭できれば、結果的に主体性が発揮される可能性が高くなります。アドラー心理学の考え方を借りると、主体性を発揮しないことは目的ではなく、〇〇の目的のために主体性を発揮していないという捉え方です。

 

 そう考えると主体性を発揮するための研修を実施するよりも、主体性を発揮できない理由は何なのか、自分の職場行動や満足度に対する衛生要因・動機付け要因を振り返るような研修の方が重要そうです。

 

 会社は組織集団ですから、全てが個人の志向に合わせた形にすることは難しいでしょうけれど、〇〇の部分が組織風土や、上司と部下の関係、その人の持ち味(キャリア志向性)にあるのであれば、主体性をつける育成を行う前に、職場環境の改善に取り組む方が近道かもしれないからです。

 

 “企業は人なり”

 

 その解釈は様々ですが、異なる志向性の人が、主体性を発揮しより高いパフォーマンスを出せる組織づくりを考えていきたいと思います。