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組織の課題を対話で解決する専門家 大坪加奈子

効果が期待できる人材育成への取り組み方① 成長課題を捉える

 世の中にはたくさんの研修プログラムがありますね。単発で特定のスキルアップを狙いとしたものから、幹部育成等の複数回の取り組みで意識を変えるものまで様々です。私もコンサルタントとしてよく人材育成に関するご相談をいただきます。

 

 状況を伺ってみると、多くの経営者は、リーダーを研修に参加させたり、外部の人材育成プログラムに出席するように促したりしているようです。また、昨今経営課題を解決することをミッションとした幹部育成プログラムも増えてきました。

 

 その中で、よく経営者から「期待する結果があまり得られなかった」という感想を聞きます。特に「その時が良いが職場の実務に戻ると今までと同じような状態で変化や成長が見られない」と伺います。

 

なぜでしょうか?

 

 研修の中身や進め方も影響しているかもしれません。ですが、多くの場合、研修を受ける前提が上手く取り組まれていないケースが多いのです。それは具体的に何かというと、「人材育成」と言った時に、「期待値」と「現状」のギャップが具体的に捉えられていない状態で研修が受けられているということです。

 

 要するに、何となく言われたから参加したというケースです。実は、研修にしても、育成プログラムにしても、参加する前の前提をしっかり作っておくことが重要です。自分は何を学ぶためにここにきたのかという認識です。学ぶ対象を認識するためには、自分の成長に対するギャップ(問題・課題)を捉える必要があります。

 

 ギャップを捉えるにあたって、抽象的になりやすい点が、期待水準の状態です。言葉としてこんな人材を期待すると書かれているケースはありますが、具体的に何がたりないのか、実務上の役割を含めた期待水準の状態は実は不明瞭になっているケースが多いです。

 

 どのような成果と行動を期待するのか、今何ができていて、何ができていないのか?この点を予め明らかにして研修参加者と上司の間ですり合わせをしておく必要があります。研修やワークショップ、プログラムそのものは人を育てるための仕掛けの一つでしかありません。このギャップを捉えずに、何となくリーダーや幹部に必要なテーマの研修を受けても、いまいち職場や実務に活かすことができないのです。

 

 どんな会社にも階層があります。それは人が仕事で成長する過程で担う役割です

①担当領域の日常業務が一人でこなせるレベル

②担当領域の日常業務について後輩や新人を教えられるレベル

③担当チームのリーダーとして実務を監督できるレベル

④担当課の役割を全うするためにリーダーとしてマネジメントできるレベル

⑤担当部署を牽引するために中長期の目線で全社および部門のマネジメントが担えるレベル

 

 この役割を軸に、求められる行動と能力をチェックリスト化して、できていること・今後身につけてほしいことを上司と部下が話し合う仕掛け・仕組みをつくっていくことが大切です。そうすることで、研修の参加効果が倍になります。

 

 試しに半年継続してみてください。さらに研修自体を上司の一存で決めるのではなく、部下自身が足りないものに、部下自身が気づいてもらい、研修を探してくるぐらいがちょうど良いです。部下自身の成長です。部下にイニシアティブをとってもらい育てましょう!